キャラクターを、さらに、思い切り引き立てる設定を。

 キャラクター作りの時に、ワキ役と同じで主人公のキャラクターを
さらに引き出すために、状況設定を考えることも大切ですね。

最初から、もう絶体絶命の状況に落ちてしまっている。

ドラゴンヘッド」「漂流教室」とか、
すでに、最初のページがら極限状態ですね。

物語の構成では「物語のクライマックスで、主人公が選ぶ行動や判断」

状況設定では「極限状態で、選択する行動」

でキャラクターを際立たせるのです。

極限の状況下での、仲間割れとか、どんどん問題をぶつけていく。

物理的にも、人間関係的にも、ヒューマニズム的にも

これでもか、というくらいに主人公を徹底的に追い詰める。


まさに八方ふさがりで

「どうすりゃあ、いんだあああああ!!!」
と、頭をかかえさせる。

「さて、主人公はどういう選択をするのか」

読者は、思わず先を読みたくなりますね。
この壁を乗り越えられれば、

谷が深ければ深いほど、這い上がってきたときの
高低差が大きくなる。

ただし、ここで原作者が注意しなければならないことがあります。
「主人公を追い詰める問題を考える時に、結末まで考えてはいけない」ということです。
「主人公をこんなに落として、解決できるのかな」とおっかなびっくり考えてはいけません。
エンディングを考えると、どうしても自分に手加減してしまいます。

とにかく、なるべく深い谷底を考えて

あとさき考えずに、勇気をもって主人公を叩き落としましょう。

贋作者自身も、
「めちゃくちゃに落としてしまったけど、さあこの解決はどうしよう」
と頭を抱えましょう。


そしてまさにここで悩んで、主人公と同化して、ともに解決を導き出す。
ここに、いちばん汗を流しましょう。

なぜなら、これが物語のクライマックスで、キモで、物語の面白さの核心だから。

ここを、一生懸命に力を注ぐこと、
ここが解っていれば、

少なくとも、自分の力を出し切ることができると、考えています。


マンガ原作の書き方 入門からプロまで77の法則

マンガ原作の書き方 入門からプロまで77の法則

キャラクターを、徹底的に追い詰める。
「おみこし理論」(大石賢一「マンガ原作の書き方77の法則」)