キャラクターの立ち=「キャラ立ち」の視点でいろんな作品を評論していきます。

マンガ以外でもキャラ立ちが重要なものはたくさんあります。
小説、映画、ドラマなどヒット作、名作のキモは実はこのキャラ立ちにあるのに、

また、マンガなのにキャラ立ちが甘いためにヒットにつながらないこともあります。


そこに気づいていない人が多いと思う。そこで僕が立ち上がることにしました。

大石理論「キャラクターの5つの条件」からキャラ立ち具合を検証していきます。

大石賢一先生の「マンガ原作の書き方77の法則」

マンガ原作の書き方 入門からプロまで77の法則

マンガ原作の書き方 入門からプロまで77の法則

から、マンガの主人公を作る上で欠かせない5つの法則。
1.応援したくなる。
2.目的を持っている。
3.他人と違う個性を持っている。
4.生活、行動の好き嫌いがはっきりしている。
5.正義感や優しさを持っている。

このカテゴリーでは、マンガ以外でも、小説、映画、TVなどなどキャラ立ちの成功がヒットにつながっている作品を取り上げていきたい。

ちょっと思いつくだけでも、
ライトノベルはすべてキャラ立ち勝負。特に100万部、1000万部といっているもの。入間人間なんてキャラ立ちのみといわれてますよね。文章読みにくいったらないし。

おじさん向けだって、今ヒットしている時代小説は
ほとんどキャラ立ち。

紀伊の変 ─ 居眠り磐音江戸双紙 36 (双葉文庫)

紀伊の変 ─ 居眠り磐音江戸双紙 36 (双葉文庫)

「居眠り岩磐」の佐伯さんもインタビューで「夕立の佃大橋でお今が小走りにどこかへ小走りに走っている情景をまず思い浮かべるだけで書き始める」という。「あたまのキャラが動き出す」のだそうだ。書いている本人ですら、結末はわかっていない。どう転ぶかわからない。だから読む人もどう物語が進むかわからなくて、おもしろいんでしょう。

 TVドラマだとマンガ原作だけど久しぶりにおもしろかったのが
デカワンコ」でしょう。
犬より鼻がきく、ゴスロリの、刑事。

デカワンコ 1 (クイーンズコミックス)

デカワンコ 1 (クイーンズコミックス)

あと、前にも書いた東川氏の令嬢刑事ですね。
これはイケメン執事を組み合わせるというもの
どっちが主人公かわからないが、やはり令嬢が主人公でしょう。

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

とまあこんな具合に「キャラ立ちしてるかどうか」を切り口に
評論していきたいと思います。

40代から50代が人生で最も実りある年代だ。(再掲載)

ナポレオン・ヒルが、成功を遂げた人々を二万五千人以上も分析した結果、

驚くべき事実がわかった。

「40歳以前に成功した人はほとんどいないこと。」

「40代から50代が人生で最も実りある年代」

著名な実業家の伝記を調べてみると

「40代から60代までが人間の最も生産的な年代であるという事実に満ち満ちている」

成功哲学—あなたを変える素晴らしい知恵の数々


 p443

ヘンリー・フォードは40歳過ぎまで成功の見込みはなかった。

アンドリュー・カーネギーの事業も軌道に乗り出したのは40歳過ぎてから。

鉄道王ジェームズ・J・ヒルは40歳の時にはまだ電信のキーを叩いていた。

そして当のナポレオン・ヒル成功哲学を完成させたのが45歳。

というワケで私は大いに勇気づけられたのだ。そこで遅咲きの作家をいろいろ調べてみると、チャンドラーが意外とデビューが遅いのには驚いた。

さらに日本の作家にもいるわいるわ。40代が本当に多い。

私も何とか間に合うかもしれない。

レイモンド・チャンドラー 51歳で初の長編小説 

 初めての長編「大いなる眠り」

大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)


を書いたのが1939年51歳。1932年ダブニー石油の副社長にまで昇進したが、飲酒癖その他生活の乱れから解雇される。44歳で職を失い、おりしも大恐慌のさなかで、仕事はなかった。海辺でパルプ小説を読みふけっていたという。その時、パルプ小説誌「ブラック・マスク」で活躍していたのが、ダシール・ハメット(「マルタの鷹」「赤い収穫」)1933年45歳で6ヵ月かけて書いた「脅迫者は射たない」を、ハメットらが活躍していた「ブラック・マスク」誌に投稿。パルプ小説を書いていた。

新田次郎 43歳で作家デビュー

「強力伝」を書き懸賞小説に当選する、これが43歳で出版され、翌年いきなり直木賞を受賞する。その後、「蒼氷」など山岳小説、推理小説を書いていく。本業では51歳で測器課長に昇進し、富士山気象レーダーの建設の歴史的大役を成功させる。

阿刀田高 43歳で作家デビュー

阿刀田高国会図書館勤務しながら『冷蔵庫より愛をこめて』で作家デビューしたのが1978年、43歳。

藤沢周平 43歳で作家デビュー

業界紙の編集長をやりながら、土日に小説を書いていたという。四十三歳のとき書いた時代小説が、オール読み物新人賞を受賞し、プロとしての作家活動が始まっている。

松本清張 43歳で作家デビュー

朝日新聞に勤めながら、42歳で週刊朝日の懸賞小説で三等。その後43歳で『三田文学』を編集していた木々高太郎に掲載誌を送った。木々から執筆依頼を受け書いた『或る「小倉日記」伝』が芥川賞を受賞した。この原稿を書いていた 頃は、6畳、4畳半、3畳の工員住宅に住み、妻子5人が隣の蚊帳で寝、その隣で老父母が寝ていた。

社会派と呼ばれ、「社会的動機」を描くことで、

推理小説を単なる謎解きに終わらない高みへと導いた。

「「社会的動機」とは何か?清張の作品の中にそれを探してみよう。戦後の混乱期、米軍相手の娼婦だったある女が上流家庭の婦人となり、過去を知る人間を殺し てしまう「ゼロの焦点」。当時極端な差別を受けたライ病の父親がいたという過去を、ある恩人だけが知っている。その人を殺してしまう新進気鋭の作曲の殺人 を描いた「砂の器」。清張の言う「社会的動機」というのは、「個人から社会へ広げた、社会悪というか、社会的な組織の矛盾というか、そういうもの」なので ある。

 推理小説で社会的動機を描くといことは、登場人物の人間性から周囲との人間関係、社会的背景について深く描くということだ。それが推理小説を単なる謎と きゲームから文学の域へと高める役割を果たしたのである。松本清張が日本の推理小説を大きく変えたといわれるゆえんである。」

「ものかき10000人プロジェクト」http://www.shuppanjin.com/minikoza/minikozaw49.html

『推 理小説作法—あなたもきっと書きたくなる』(光文社発行)

●漫画家 青木雄二 44歳でデビュー

1989年に「50億円の約束手形」でアフタヌーン四季賞佳作に入選、1990年に「彼岸と此岸の間で」で準入選を受賞。「ナニワ金融道」(ナニ金)(モーニング)で漫画家として44歳でデビュー。

●佐伯泰秀  57歳で時代小説デビュー

初めての書き下ろし時代小説 『瑠璃の寺』角川春樹事務所、1999、『密命 弦月三十二人斬り』祥伝社文庫、1999がいきなりヒット。その後、月1冊ほどのハイペースで書いてます。

●久木綾子 89歳で作家デビュー

歴史小説「見残(みのこ)しの塔」の作者、久木綾子。70歳で山口市瑠璃光寺の国宝の五重塔を知る。 取材に14年、執筆に4年をかけ、89歳で作家デビュー。すごい。

49歳になってしまった。ああ。

誕生日なんてもうこないでほしい。
しかし時は無情に過ぎて、誕生日がやってきてしまった。

マンガ原作は進まない。
震災のせいにしてはいけない。

しかしアイデアだけはいろいろある。
書く手順もわかってきた。
後は書くだけなのだ。

そして持ち込みするのだ。歳のことは忘れてしまおう。

キャラクターを深める。その2

ジェームズ・キャメロン監督も学んだという
「映画をかくためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術」(フィルムアート社)

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術


シド・フィールドによると

「まずキャラクターの目的を明確にせよ。
 キャラクターは何を求めているのか?
 彼には何が必要なのか? 
 何が登場人物を突き動かしているのか?」

そして

「キャラクターの目的をはっきりさせることができたら、
 その達成を阻止しようとする設定をすることができる。」

 「キャラクターが、
 その障害をどのように乗り越えることができるかが、
 『ストーリー』である。」


大石賢一先生は、キャラ作りの時間が一番楽しいという。
編集者、漫画家と打ち合わせを重ねて、主人公とはどういうやつなんだというアイデアブレインストーミングする。
多いときには連載の1月前になってもキャラ作り=キャラ設定の打ち合わせばかりをしていて、ストーリーの話はほとんどしなかったということもあったらしい。

この辺のブレインストーミングはなかなか
マチュアではできないですよね。なぜなら、どこまでキャラ作りが必要かわからないから。

そこで、キャラ設定はどこまで深めるのか?
それはキャラクターの履歴書のようなものである。こんなところまで必要なの?と思うぐらい細かく深く設定していく。
出身地、年齢、家族構成、両親、祖父母、親戚の生まれ、職歴など

コツとしては、ストーリーに現れないかもしれないところまで詳細に決めておくことである。
これがキャラクターに命を吹き込むことができる。人間的な深みを当たれ宇ことができるのだ。


できればそれぞれの経歴にエピソードを考えて行くと、原作シナリオを書くときにかなり楽になる。
次回は、キャラクターの履歴書作りの項目を具体的に細かく出していこう。

キャラクターを深める。その3

キャラクターを深めるための項目を整理してみよう。
参考にしたのはやはり、

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術


キャラクターに影響を与えている内面・外面


【外面】……ストーリーの始まりから終わり
●社会生活(仕事)
●個人生活(結婚、交友)
●プライベート(一人の時に何をしているか?)


【内面】……誕生から現在まで
●キャラクターの履歴(欲求、視点、態度、変化)


誕生から現在までのキャラクターの履歴が、キャラクターの内面を形作っているというのである。
まさにここに、「キャラクターに深み」を与えることがどうかの分岐点があるように思う。

では次回でさらに、詳細な項目を考えて行こう。ここからがちょっと大変なんだけど
僕も頭でわかっていても、まだまだ甘いと思っているところなのだ。
なぜかって? 

一見シナリオを書くうえで必要ないと思われるからだ。
なんとなく無駄なことに思われるのだ。

『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉(小学館)はマンガのキャラ立ての手法だ。

本屋大賞を受賞した
謎解きはディナーのあとで東川篤哉小学館)が
100万部を突破したそうである。

なぜ?

キャラクターの良さだと思う。
キャラクターがストーリーを引っ張った結果でなないか。
東川氏は意識しているかどうかわからないが、
これまでの作品とあきらかにキャラクターの立て方を
先に考えたからではないだろうか。

とすると、やはりマンガの手法も小説(エンターテインメント)にもおおいに通用すると確信できる。

ストーリーからいくと東川氏の作品だと『交換殺人には向かない夜』とかもかなり面白い。しかし、こちらの作品が売れている。この中に登場するさくらもなかなかだ。

一見深キョンのTVドラマ「富豪刑事」に近いともいえるが、面白ければいい。

さて、このキャラクターの良さを意識して書いたかどうかは、
続編を書くかどうかをみれば分かるだろう。

私だったら、絶対シリーズ化する。