つかこうへいの「口立て」はキャラ作りだ。
「つかこうへへい」の追悼番組を見て
はたと、納得した。
つかこうへいの演劇の作り方は、マンガのキャラクター作りの過程とおなじだったのだ。
役者の生い立ち、コンプレックス、性格を深く稽古を通じて
引き出しながら、芝居の中の登場人物を深め、作ってていく作業……。これこそキャラ作りだ。
熱海殺人事件は、ストーリーという枠は同じだが、
登場人物のキャラ、経歴、背負っている過去、コンプレックスはどんどん変わっていく。
その際に、「口立て」で稽古をしながら役者のキャラと渾然一体となりながら、芝居の中のキャラに結晶していく。
つかが口立てでセリフを考えていく、ということは
「こんなキャラクタ−の奴だったら、こうしゃべるだろう。」
ということに他ならない。
つかこうへいの芝居の中の「キャラクターが動き出す」のである。
この作業は、マンガの主人公のキャラクターをつくる作業に
似ている。
木村伝兵衛は、
「やり投げ選手でオカマ」だったら
こういうことを話すだろう。
「売春捜査官」だったら、こんなセリフで犯人の大山を追い詰めるだろう。